ハゲワシの死をめぐる多種関係――ヴァン・ドゥーレンの報告から

 インドでは、牛の飼育管理において抗炎症薬が投与されてきた。ところがこの薬剤は、牛の死体を食べるハゲワシにとって致命的な毒性を持っていた。
 ハゲワシが激減した結果、放置された牛の死体は犬によって食べられるようになる。犬が集まる環境では狂犬病が広がり、その影響は最終的に人間社会の公衆衛生危機として現れる。
 この事例は、人間の管理行為が複数の種を巻き込み、予期しない連鎖反応を多種共同体にもたらすことを示している。


参考資料

Thom van Dooren (2011) “Vultures and their People in India: Equity and Entanglement in a Time of Extinctions,” Humanities Review 50, pp.45-61.