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アホロートルとは何者か?――神話的存在から実験材料へ

 アホロートルはエラの付いた幼生のまま成熟する山椒魚の一種であり、日本では「メキシコサンショウウオ」、あるいは「ウーパールーパー」の名で知られる。国際的な通称である「アホロートル」は、メキシコ先住民言語のナワトル語に起源を持つ。

axolotl

近似発音:アショロトル

対応する日本語:メキシコサンショウウオ

言葉の構成:

a ( < atl )xolotl
水ショロトル

 ショロトルはアステカ神話で火や雷の神、不幸や病気の神、死者の魂の案内役などとして知られる存在だった。美術作品では犬の頭を持つ姿で描かれている。
 そのショロトルが、とあるいきさつで変身した姿の一つが、水の生きものであるアショロトルだった。神話的背景を持つアショロトルは、メキシコの先住民にとって神聖な存在でありつつ、同時に食料源でもあった。2つの属性――神聖であることと食べる対象であること――は、対立するものではなかったと思われる。

ショロトル。フェイエルヴァリ=マイエル写本(Codex Fejervary-Mayer)より。

ヨーロッパによる「発見」後の変化

 メキシコでは古くから知られていたアショロトルであるが、ヨーロッパ人がこの動物を「発見」したのは18-9世紀のことだった。ヨーロッパの博物学・分類学の体系に組み込まれたアショロトルは、リンネらが構築した二名法のもと、Ambystoma mexicanumという学名を与えられた。

Ambystoma mexicanum

近似発音:アンビュストマ・メキシカールム

対応する日本語:メキシコサンショウウオ

言葉の構成:

Ambys ( < amblys)stomamexicanum
鈍い口メキシコの
または
anabystomamexicanum
口に詰め込むメキシコの

 アショロトルはやがて、手足を切り落としても元に戻るという優れた再生能力に目をつけられ、実験材料として扱われるようになった。さらに後には資本主義経済に組み込まれ、ペット市場で流通することとなる。名称はスペイン風の発音にしたがった「アホロートル」や、英語の「アクソロートル」が定着した。
 メキシコ先住民の世界観にあった神話的な地位と、そのナワトル語の呼称は、ヨーロッパ的な意味づけと名称が主流となる中、「雑学」の領域に追いやられた感がある。


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本資料は《交界の羅針盤》案内人・井上太一による独自整理である。
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