パチャママとは何か?――アンデス地域の神話的存在論

 アンデス地域には女神信仰が息づいていた。パチャママ(Pachamama)は生命を支える生きた大地の女神であり、人間の母はその延長に位置づけられる。
 パチャママのほか、食物や海や生命にはそれぞれの女神が存在し、やがて男性神の信仰が強まったのちも、大地、水、月、夜、そして女性に関する神話や儀礼は生き残った。

 8月のパチャママ儀礼は、一年の循環の中心をなす。人々は供物(食物や酒など)を捧げ、大地はそれに応じて生命と収穫をもたらす。この相互関係は農作業・移動・交易などの日常実践に埋め込まれている。

 パチャママ信仰にもとづく人々の生活史は、自然と文化を切り分ける西洋近代の人間中心的な存在論を揺さぶる。


参考資料

  • Marcelo Fernández Farías (2016) “Vista de Eurocentrismo y ontología indígena. La Pachamama,” Analéctic, https://analectica.org/index.php/inicio/article/view/152/606 (2026年4月24日アクセス)。なお、同資料では特にLuis Alberto Reyes (2009) El pensamiento indígena en América: Los antiguos andinos, mayas y nahuas, Biblosが参照されている。


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本資料は《交界の羅針盤》案内人・井上太一による独自整理である。
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