交界の羅針盤 » CODEX » その地名は誰のものか?――地図空間をめぐるもう一つの植民地化と脱植民地化

その地名は誰のものか?――地図空間をめぐるもう一つの植民地化と脱植民地化

 私たちが知っている世界の地名には、植民地化の歴史やヨーロッパの覇権を色濃く映し出しているものがある。各地に暮らす人々がその土地を指して使っていた呼称は、外から来た入植者によって上書きされることが少なくなかった。現在では脱植民地化の一環として、先住民による名称を復興させる取組みも行なわれている。
 本資料では、主流となっている地名と、それを脱中心化する当事者や先住民による呼称の代表的なものを紹介する。それぞれの名称が持つ意味・役割・歴史などについては、別途整理したい。

名称の分類と記号

▲ 伝統的地名:
  先住民がその土地を指して用いてきた名称

■ 歴史的領域名:
  植民地化以前から存在する歴史的・政治的な領域名

● 復興的地名:
  脱植民地化や先住民の権利運動で用いられる名称

外来/公式名当事者/先住民の土地名分類
アメリカ大陸Abya Yala(クナ語)●
ノースウエスト準州Dënéndeh(デネ語)▲
クイーンシャーロット諸島Haida Gwaii(ハイダ語)▲●
アメリカ南西部Dinétah(ナバホ語)▲
インカ帝国地域Tawantinsuyu(ケチュア語)■
グリーンランドKalaallit Nunaat(カラーリット語)▲
ラップランドSápmi(サーミ語)▲
シリア北部・東部Rojava(クルド語)■●
エジプトKemet(古代エジプト語)■
ガーナ帝国領域Wagadu(ソニンケ語)■
マグレブ・北アフリカTamazgha(ベルベル語)▲●
南アフリカAzania(古代ギリシャ語)●
北海道・樺太・千島列島等Aynumosir(アイヌ語)●
エアーズロックUluru(ピチャンチャチャラ語)▲
フリーマントルWalyalup(ヌンガー語)▲
メルボルンNaarm(ウォイウルン語)▲
ニュージーランドAotearoa(マオリ語)▲●

注意点:地域の当事者や先住民による名称は、外来/公式名で指される地域と完全に一致するとは限らない。

今後の課題

 上の一覧と地図では、中央アジア~東アジアおよび東南アジア~太平洋地域の一帯が空白となっている。これらの土地にも、植民地化以前あるいは非ヨーロッパ起源の名称が存在すると思われるため、引き続き調査を要する。

 なお、先住民の地名を詳細にまとめた「Native-Land.ca」というインタラクティブ・マップも参照されたい。


公開日:

最終更新日:

関連人物:

資料タイプ:

本資料は《交界の羅針盤》案内人・井上太一による独自整理である。
利用・引用の際は、出典(著者名・サイト名・URL)を明記されたい。