動物擁護運動、つまり動物の保護や権利を求める運動は、時代的におおよそ三つの波に分かれる。
第一波のそれは19世紀に始まった。この時期には女性の参政権や奴隷解放を求める第一波フェミニズムの担い手たちにより、動物虐待を防ぐ法整備や動物実験の廃止を求める取り組みが行なわれた。
第二波は20世紀、特に反戦・反権力闘争が盛んとなった1960年代以降に訪れた。この時期にはペット産業や動物実験に加え、娯楽産業や食肉産業で搾取される動物たちの権利や福祉を求める取り組みが行なわれた。動物倫理学やビーガニズムの基礎が築かれたのもこの時代にあたる。
第三波の運動は21世紀の今日、進んでいる。理論の成熟に伴い、各国で動物の権利を法制化する取り組みが行なわれている。一方、交差性の視点をもとに運動のあり方への反省が行なわれ、人々や動物の多様性を視野に入れた包摂的な理論と実践が模索されている。
19世紀
第一波
虐待禁止の法的闘争
動物実験への反対
注目ポイント:
第一波フェミニズムとのつながり
重要人物:
メアリ・ウルストンクラフト
アンナ・キングスフォード
ルイス・ゴンペルツ
ヘンリー・ソルト
20世紀
第二波
動物の福祉/権利運動の始まり
ペット・娯楽・食肉産業の批判
注目ポイント:
反戦・反権力闘争との共鳴
重要人物:
ブリジット・ブローフィ
ピーター・シンガー
トム・レーガン
ゲイリー・フランシオン
21世紀
第三波
動物の権利の法整備
包摂的なビーガニズムの模索
注目ポイント:
交差的視点にもとづく新展開
重要人物:
キャロル・アダムズ
ブリーズ・ハーパー
パトリス・ジョーンズ
ディネシュ・ワディウェル
この運動がこれからどのような展開を迎えるかは、まさに第三波の時代を生きる私たちの手にかかっている。
参考資料
Margo DeMello (2012) Animals and Society: An Introduction to Human-animal Studies, Columbia University Press, Ch.19.
