三つの波から辿る動物擁護運動の展開

 動物擁護運動、つまり動物の保護や権利を求める運動は、時代的におおよそ三つの波に分かれる。
 第一波のそれは19世紀に始まった。この時期には女性の参政権や奴隷解放を求める第一波フェミニズムの担い手たちにより、動物虐待を防ぐ法整備や動物実験の廃止を求める取り組みが行なわれた。
 第二波は20世紀、特に反戦・反権力闘争が盛んとなった1960年代以降に訪れた。この時期にはペット産業や動物実験に加え、娯楽産業や食肉産業で搾取される動物たちの権利福祉を求める取り組みが行なわれた。動物倫理学ビーガニズムの基礎が築かれたのもこの時代にあたる。
 第三波の運動は21世紀の今日、進んでいる。理論の成熟に伴い、各国で動物の権利を法制化する取り組みが行なわれている。一方、交差性の視点をもとに運動のあり方への反省が行なわれ、人々や動物の多様性を視野に入れた包摂的な理論と実践が模索されている。
 この運動がこれからどのような展開を迎えるかは、まさに第三波の時代を生きる私たちの手にかかっている。


本資料は《交界の羅針盤》案内人・井上太一による独自整理である。
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