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対話と連帯の原則

 《交界の羅針盤》は、多種解放をテーマとする学際的メディア・スペースであり、人間と人間以上の解放をめざす。本スペースでの探究活動では、以下の原則を共有し、実践する。


知の姿勢

客体化から関係性へ

 私たちは、他者を研究するという営みが、しばしば客体化や不適切な代弁の危険を伴いうることを自覚する。ゆえに、他者を自身から切り離すのではなく、経験の違いを認識しながらも、その語りを聞き、そこから学ぶ姿勢を大切にする。

交差的視座

 人種、性別、国籍、階級、種といった複数の権力軸が、どのように絡み合っているかを常に考え、対話や交流の中に生じうる力関係に注意する。
 また、性別や人種や歴史の力学に無頓着な単一争点(シングルイシュー)の取り組みは、新たな抑圧を生む可能性があることを認め、これを避ける。

言説の倫理

断罪を超えた事実の尊重

 私たちは、抑圧され沈黙させられてきた人々の言葉に耳を傾けることを重視する。ただし同時に、言葉が暴力へと変貌するソーシャル・メディア的な力学に対しても強い警戒心を持つ。
 充分な事実確認を伴わない安易な糾弾や集団的な排斥には一切加担しない。不確かな情報をもとに特定の個人を断罪するのではなく、事実を冷静に見極める姿勢を一貫する。

両義性の保持

 私たちは批判そのものを拒否しない。むしろ批判は知的営為に不可欠である。ただしその批判は、人格の否定ではなく、言説や構造の検討に向けなければならない。
 思想や著作を論じる際、その人物の言動に対する倫理的な疑義と、理論としての意義を峻別する。偶像崇拝も安易な抹消も知的・倫理的営為に反することを自覚し、その人物を私たちの対話と考察のための参照点として文脈の中に位置づける。

架橋と対話

 私たちは、異なる経験・知識・倫理のあいだに橋を架けることを試みる。それらを安易に同一化するのではなく、差異や緊張を保ちながら対話の可能性を模索する。
 私たちは常に、学びの途上にある。知識の不確かさや自身の認識の偏り・誤りを認めることを恐れない。《交界の羅針盤》は、専門家と非専門家が、ともに未来を構想する協働の空間である。


 この原則は案内人自身の過去の経験や反省から得た倫理観にもとづいている。議論を重ねる中で、今後も必要に応じて更新し続けたい。