フェミニズムと動物擁護は深い関係を持つ。例えば17世紀の作家マーガレット・キャベンディッシュは文芸作品を通し、狩猟や肉食や動物機械論にいち早く反対した。
19世紀には、第一波フェミニズムの担い手たちが、女性解放や奴隷解放とともに動物擁護をも主張した。この時期に発足した反動物実験組織は最も急進的な動物解放の立場を示した。
20世紀後期には、第二波フェミニズムやエコフェミニズムが興隆する中、父権制と動物搾取の密接な繋がりが分析された。この時期、ピーター・シンガーの動物解放論に先んじて、フェミニズムからの動物擁護論は著しい発達を遂げ、肉食や狩猟などの個人行為が持つ政治性が問われた。
21世紀に入ると、菜食/動物擁護フェミニズムは多様化した。交差性の議論をもとに、多様な声と経験にもとづくプロジェクトが生まれるが、諸派の担い手たちは互いの哲学を尊重しつつ、論集の編纂などによって連携を築いてきた。
19世紀
抵抗としての動物擁護
- 女性解放と動物保護の接続
- 科学の名による暴力への批判
- 先駆的な菜食の実践
主な出来事
- 女性たちによる菜食文献の刊行
- 反動物実験運動
(代表例:ブラウンドッグ事件) - サフラジェットによる菜食実践
重要人物:
- メアリ・ウルストンクラフト
- アンナ・キングスフォード
- フランシス・パワー・コッブ
- リジー・リデイ・エフ・ヘイグビー
20世紀
性と生の政治化
- 第二波フェミニズムの動物擁護
- 父権制と動物支配の関連付け
- エコフェミニズムとケアの倫理の融合
主な出来事
- ブローフィ「動物の権利」を発表
- コラード『野生のレイプ』刊行
- アダムズとドノバンの協働
重要人物:
- ブリジット・ブローフィ
- アンドレ・コラード
- キャロル・アダムズ
- ジョセフィン・ドノバン
21世紀
多様化と連携
- 交差的視点の導入
- 新しい越境型プロジェクトの林立
- ビーガン・フェミニズム論集の蓄積
主な出来事
- VINEサンクチュアリ創設(クイア系)
- シスター・ビーガン・プロジェクト発足(ブラック・フェミニズム系)
- ビーガン・フェミニスト・ネットワーク結成(ラディカル・フェミニズム系)
重要人物:
- パトリス・ジョーンズ
- ブリーズ・ハーパー
- コリー・レン
- ジュリア・フェリーズ
参考資料
- Greta Gaard (2002) “Vegetarian Ecofeminism: A Review Essay,” Frontiers 23(3): 117-146.
- Greta Gaard (2011) “Ecofeminism Revisited: Rejecting Essentialism and Re-Placing Species in a Material Feminist Environmentalism,” Feminist Formations 23(2): 26-53.
