畜産業の非効率と食料問題

 畜産業は非効率な食料生産の方法として知られる。
 私たちは植物を直接食べることができるにもかかわらず、植物を動物に食べさせ、その動物を食品に変え、それを人間が食べるということをしている。
 この食料生産は、途中のプロセスで複数の「ロス」を生んでいる。

飼料作物の浪費

 動物性食品を作る過程で、どれくらいのロスが生じているか?
 鶏肉1kgを生産するのに必要な作物は、2~3kgとされる。
 豚肉1kgを生産するなら、必要な作物は5~6kg。
 牛肉1kgを生産するなら、必要な作物は10~20kgにのぼる。
 逆に言えば、私たちは膨大な作物をほんのわずかな食肉に変えていることになる。
 これは世界で生産された食物が失われていること、つまりロスを意味する。

飼料輸送のフロー

 今日の世界では、「南側諸国」と呼ばれる貧しい国々の土地で、動物に食べさせる大量の飼料作物がつくられている。
 その作物は「北側諸国」と呼ばれる豊かな国々へ輸送され、動物に与えられる。
 そして動物からつくられた食品は、その北側諸国の人々が食べる。
 南側諸国の視点から見ると、食料生産に使えるはずの土地が、豊かな北側諸国の畜産を支えるために費やされていることになる。
 そのせいで、南側諸国では食料が足りなくなり、飢餓や栄養不良が広がる。

 今日の食料問題は、食料の不足ではなく分配の不平等によって起こっている。
 そして、肉食とそれを支える畜産業は、この問題の大きな原因となっている。


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本資料は《交界の羅針盤》案内人・井上太一による独自整理である。
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