アメリカの哲学者トム・レーガン(Tom Regan, 1938-2017)は、動物の権利を基礎づけるために、基本的権利の理論を体系化した。それによれば、
権利とは第一に、他者からの危害や自由剝奪を防ぐ立入禁止標識、あるいは防壁である。
第二に、それは他の者たちの利益次第で否定されてはならないもの、つまり他者のいかなる利益にも勝る切り札である。
第三に、それは権利保有者の属性によって増減するものではなく、平等に保有されるものである。
第四に、それは気前の良さや寛大さによって与えられるものではなく、正義によって要請されるものである。
第五に、それは権利侵害が生じた時、他の者たちに助力の義務を課す。
最後に、これら全ては各個の尊重という原則のもとに統一される。

権利を有する生の主体
では誰が権利を有するのか。
レーガンの答えは「生の主体」だった。すなわち、
- 世界の出来事を意味あるものとして経験できる存在は生の主体である。
- 生の主体は誰に価値を認められなくても、自分自身にとっての存在価値を持つ。これを内在的価値という。
- 生の主体は、その身にふさわしい扱いとして、内在的価値を尊重される権利を持つ。
- 内在的価値を尊重される存在は、他者の目的達成のための手段として扱われてはならない。

レーガンが指摘するように、生の主体は人間だけに限らない。あらゆる科学的証拠のもと、多くの動物は生の主体であると考えられる。
よってレーガンは、人間だけでなく他の動物たちも権利を有すると考えた。
参考資料
Tom Regan (2004) Empty Cages: Facing the Challenge of Animal Rights, Rowman & Littlefield.
トム・レーガン著/井上太一訳(2022)『動物の権利・人間の不正―道徳哲学入門』緑風出版。
